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グローブは生きている?――知られざる野球道具の世界

野球をしている人にとって、グローブは単なる“道具”ではありません。手の一部のような存在であり、試合をともに戦う相棒です。実はこのグローブ、作る側から見るとまるで“生き物”なんです。

まず、グローブに使われている革には一枚ごとに性格があります。同じ牛から取れた革でも、背中の部分は張りが強く、腹の部分は柔らかい。季節や飼育環境でも繊維の締まり方が変わるので、まったく同じ質感の革は二つとありません。職人はその違いを手の感覚で確かめながら、どこに使うかを決めていくんです。まさに“革を読む”仕事なんですね。

新品のグローブを動かしたときに「ギュッ」と音が鳴ることがありますよね。あれは、革と芯がまだ馴染んでいないから。使い込むうちにその音が消えていくのは、グローブが自分の手になじんできた証拠なんです。つまり「音が鳴らなくなった=育ってきた」ということなんです。

実は、プロ選手の中には「雨の日に重くなったグローブでキャッチング練習をする」人もいます。重くなることで芯の感覚がよりはっきりし、捕球の感覚が研ぎ澄まされるんです。グローブは、使えば使うほど選手のクセを覚え、動きに合わせて変化していきます。

だから私たち職人が作っているのは、単なる“新品”ではなく、“これから育つ相棒”。革が呼吸し、手と心に馴染んでいく――そんなグローブこそが、野球の魅力をそっと支えているんです。

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