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グローブのあれこれ Gallery

選手の「ありがとう」の一言が、次の火種になります。

プロ野球選手のグローブづくりは、マニュアルだけじゃ絶対にたどり着けない泥臭い世界です。

選手は「もう少し指先でボールがつまめる感じ」「閉じた瞬間にパンと音が抜けてほしい」と、こちらの常識を軽々と飛び越える注文を平然と言ってきます。
そこに寸法表は存在しない。だからまずベンチに腰掛け、選手がキャッチボールをする手元をじっと観察し、癖やリズムを頭に叩き込む。

革選びも一発勝負。首に近い柔らかい部分でポケットを作り、背中の硬い部分で背骨を支える――そんな“切り絵”を考えながら革を裁断します。

繊維方向を読み違えると、真夏の湿気で一気にダルダルになるので、失敗作は即アウトなんです。
縫製に入れば、針目のピッチを0.5ミリ詰めるだけで開閉スピードが変わり、ミシンのペダルを踏みながら「ここで息を止めると縫い目がまっすぐ走る」という、自分でも意味不明なルーティンが体に染み付いています。

出来たら選手に試してもらう。二、三球で「お、いいね」と言われればガッツポーズ、首を傾げられたらその場で解体して微調整。グラブハンマーで叩き、オイルを塗り込み、またキャッチボール。これを繰り返す。

シーズンを通せば気温も汗も日焼け止めも敵になる。夏に革が伸びたら、秋には芯を追加して帳尻を合わせるし、遠征先の乾燥地では逆にオイルを減らして重さを抑える。
要するに、グローブは選手の“手の相棒”であると同時に、職人の“研究ノート”でもある。完璧だと思った翌週にまた課題が出てくるのが当たり前。その終わりなきループこそが面白い。

選手の「ありがとう」の一言が、次の火種になります。

選手の「ありがとう」の一言が、次の火種になります。 選手の「ありがとう」の一言が、次の火種になります。